終わりと始まり。役割の喪失後に起こる心身の反応

長年住んでいた家を出た時。
社長を退任した。
子育てが一段落した時。
定年退職や役職の退任、長年続けてきた役割を手放したとき。
離婚した時。

こうした毎日あったものが、「何もなくなったように感じる」そんな時期があります。
自分は何者なのだろう」という強い喪失感や寂しさに襲われることもあります。

子供の独立後に起こる反応は
空の巣症候群(Empty Nest Syndrome)と呼ばれています。
そして、長年担ってきた役割を失った時にも、これと似た心理的反応が起こることがあります。


弱いからでも、過去の生き方が間違っていたからでもありません。
変化を拒絶する脳が起こす正常な生命反応であり、新陳代謝です。

現象として起こること
まず、起きるのは役割の喪失です。
●子供が巣立つ
●社長を退任する
●定年退職する
●家を引っ越す
●転職する
●離婚する
これらは、「役割の変化」という外から見える出来事です。

心理的に起こること
現象の後に、
●強い寂しさ
●喪失感
●空虚感
●「自分は何者なのか」
●やる気が出ない
●焦り
●孤独感

が起こることがあります。
これはアイデンティティ(自己認識)を再構築している過程とも考えられています。

なぜ起こるのか?
人は、役割を通して自分を認識しています。
例えば、
●母親である自分
●社長である自分
●管理職
●誰かを助ける人
●我慢する人

など、この役割が無くなると脳は
今までの自分の役割がなくなった」と認識し、一時的に存在価値まで揺らいだように感じることがあります。

周囲でも起こりうること
役割の変化は、本人だけではありません。
周囲でも役割の再編成が始まります。
夫婦関係の変化、組織では評価制度や人間関係も再構築されます。

時には批判も反発も起こります。
役割が変わると、周囲から批判・文句・否定などの摩擦現象が起こることがあります。
これは相手が悪い!というより、今までの関係性が変わる事への戸惑いや亭受していた報酬の経路の変化から生じます。
人は脳の性質上、未知よりも慣れた状態を維持しようとする傾向があります。

心理学では
発達心理学や家族心理学では、役割の変化に伴い
喪失感やアイデンティティの揺らぎが起こることが知られています。
この時期は、新しい役割を再構築する過程でもあります。

終わりは始まり
冬の木は、葉っぱが落ちます。
これは春に芽吹く準備をしています。
人生も同じです。
役割を失ったように感じる時期は、何もない時間ではなく、次の役割が育つ余白です。
空っぽに感じることは、失敗でも、弱いからでもありません。
今までの役割が終わり、新しい役割が始まるまでの自然なトランジションです。

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